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コラム

食の安全と危機管理広報対策――ネット炎上対策も求められる時代に!

2018年3月30日
リスクマネジメント事業本部
危機管理・食品事業部長
五木田 和夫

2017年度、食の安全を揺るがす重大な食品ハザード事案として挙げざるを得ないのは、8月に発生した惣菜店における腸管出血性大腸菌O157による食中毒事故だ。埼玉県から群馬県エリアに展開する店舗で8月7日~8日の2日間に「ポテトサラダ」を購入・喫食した消費者22名が健康被害にあい、9月には3才の女児が死亡する事態となった。この間、店舗運営会社は、8回に及ぶリリースを行っているが、このタイミングは適切だっただろうか?8月21日、保健所からの健康被害情報により、初めて該当店舗の営業停止処分を公表した。また、その後も所管保健所の指導等に基づき適宜、「お知らせ」を出している。行政指導にそった最低限の広報対応と言えよう。しかしながら「食の安全・安心」が強く叫ばれている今の時代に求められるのは、早期発見・早期対応だ。8月初旬に喫食した場合、食中毒様の体調不良は1週間程度の時期に集中すると考えられる。お客様からの「申し出」等のリスク情報を一元的に管理し、被害事象の現れ方から推論すれば、自社食品提供による健康被害事象の発生の可能性を早い段階で認識できる。これにより、もっと早い段階での公表を自らの判断で実施することは十分可能であったし、また被害を極小化できたはずだ。広報を含む組織内連携強化等の体制整備の教訓事案になった。

食品関連企業が最も意識する危機管理広報は、自社食品提供に係るリスク顕在時の対応だ。この10年で見た場合、前述の惣菜店の食中毒事故のような食品ハザード事故以外に、2007年の「食品偽装」や2008年と2013年に発生した「意図的な毒物混入事件」など様々なリスクが、食品安全や危機管理広報に大きな影響を与えている。中でも近年の動向として着眼したいのは、ネット炎上リスクだ。2014年の「即席焼きそばへの異物混入事案」を端緒にネット投稿による消費者批判が一層高まった。以降「異物混入」と「炎上」をキーにしたネット上の批判トレンドに翻弄され、危機管理広報を実際に経験した食品関連企業も多いと拝察する。また2016年の「ツナ缶への異物混入」事案は、少し様相を異にした。このケースでは、テレビや新聞の現実報道を契機にし、ネット炎上に至るという経緯を辿った。一般にネット炎上に至るプロセスは、SNSからのネガティブ投稿の火種が、まとめサイトやYahooニュース掲載へと段階を踏む。また近年、マスメディアもこれを監視することで、社会的な関心事の把握や取材ネタ収集をし、現実報道に結びつけている。そして現実のメディア報道とネット炎上が相乗的に作用して企業レピュテーションに大きく影響、毀損リスクを拡大している。また「やっかい」なのは、残り続ける「炎上の跡」で、不都合な情報が風化せず長期的な影響をもたらす点だ(図1)。こうした状況を踏まえ、ネット炎上リスク対策としてネット監視の導入を含む危機管理広報対策が大手企業を中心に進んでいるが、中小企業では手薄な状況である。また、最近は「炎上の跡」の影響を低減するために検索エンジン評判対策として逆SEO手法*の導入が進んできている。

図1 ネット炎上と現実報道の相乗的作用
図1 ネット炎上と現実報道の相乗的作用
(出典:株式会社エルテス提供資料をもとに当社作成)

近時、日本においてもHACCPの完全義務化が叫ばれているが、これが実施され一般消費者など世の中に周知されると、これまで以上に「食に対する安全・安心志向」が高まると予測できる。こうした中で自社食品に問題が発生し、対応や公表に遅れ等の齟齬があった場合、お客様からのご指摘やネット投稿などを通じて、これまで以上に社会的批判が強まりをみせるだろう。今後の食品関連企業の危機管理広報体制の追加整備のポイントとしては、「お客様相談室との連携やネット監視による食品問題の予兆管理体制整備(早期発見・早期対応)」と「ネット炎上リスクを踏まえた適切な広報対応の基本への習熟」が挙げられる(図2)。

図2 ネット炎上リスクを踏まえた危機管理広報の基本
図2 ネット炎上リスクを踏まえた危機管理広報の基本
(出典:当社作成)

また、ネット炎上リスクの影響は、製品問題だけでなく、パワハラなどの労務問題、従業員の不適切行為、不適切な広告宣伝など多岐に渡ることから、関係マニュアルを見直す等、自社のビジネス上の立ち位置を考慮しつつも、広い視点で危機管理広報体制の整備を志向していくことが望まれよう。

*
SEOは、一般に検索エンジン最適化( Search Engine Optimization, SEO)のことで、自然検索結果において、WEBページをより高い検索順位に表示させることを目的として行う取り組みのことをいうのに対して、逆SEOとは検索エンジンにおけるネガティブな情報の上位表示を防止する対策手法をいう。

執筆者紹介

五木田 和夫 Kazuo Gokita
リスクマネジメント事業本部 危機管理・食品事業部長
専門は、社会リスク(製品事故や不祥事等)を中心として危機管理、レピュテーションリスク対策(危機管理広報、ネット炎上リスク等)など

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経営企画部 広報担当
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